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歯についての豆知識

MOOテクニックを使った非抜歯治療について

MOO(Molar Oriented Orthodontics)とは元々はアメリカの矯正医であるノーマン・セトリン先生がCADテクニックとして取り入れた手法で大臼歯の位置をまずはじめに戻してから矯正を行なう手法です。私はこの手法を大学での研修時代に学び、それを取り入れた治療を積極的に行なっています。また、インビザラインで治療を行なう場合でもこのテクニックを応用して使用しています。

写真は治療前(写真1、2)、後(写真3、4)ですが、不正咬合の歯並びをよく観察すると一番初めに生えてくる6歳臼歯(第一大臼歯)が前方に来過ぎていたり、前や内側に倒れ込んでいることがほとんどで、それより前の歯も前方に倒れ込ませてしまいます。(写真1、2)

写真1
写真1
写真2
写真2

矯正医は、従来ではこの状態を元に戻す方法がなく、やむなく手前の小臼歯を抜歯してスペースを作り、矯正を行なっていました。
MOOテクニックでは奥歯中心の診断を行い、大臼歯を元の位置に戻してスペースを作って前歯のガタガタを取り除いたり、出っ歯を後ろに引っ込めたりすることを可能にしています。(写真3、4)

写真3
写真3
写真4
写真4

この手法をとることにより、結果的に高確率での非抜歯での矯正治療を可能にしています。
また、大臼歯を正しい位置に戻してやることによって噛む力をきちんと歯並び全体と骨格で受け止めること可能にし、治療後の歯並びの長期にわたる安定を達成させています。歯並びは口の内部や外部の筋肉の力のバランスにより位置や形が決まります。MOOテクニックでは装置による筋肉の力のバランスの再教育も同時に行なって歯並びを再設計し、長期にわたる安定性に貢献させています。
私は非抜歯での矯正を学ぶために2002年にセトリン先生の弟子にあたるアメリカのフロリダにあるグリーンフィールド先生の診療所に赴き、実際に教えを乞いました。

人生100年といわれる時代になりました。一度きりの人生の中でお口の健康状態を最大限守ることは確実にQOLを向上させます。一本でも多く永久歯を守ることはとても大切です。矯正のために無駄に永久歯を抜くことはなるべく控えなければなりません。

※このテクニックを用いても全てのケースで非抜歯治療が可能なわけではありません。当院での非抜歯率は成人を含めると95%です。どうしても5%ほどの方は抜歯を行なって矯正しなければなりません。その場合はよくご相談の上治療方針を決定します。